かんぽの約18万件にも及ぶ不適切営業が発覚して間も無く一年が経とうとしています。
月日が経つのも早いものですね〜。
そうです、世に衝撃を与えた『かんぽの不適切営業問題』が、どうやらひと段落を迎えそうです。
[st-card-ex url="https://news.yahoo.co.jp/pickup/6363952" target="_blank" rel="nofollow" label="" name="" bgcolor="" color="" readmore="続きを見る"]
記事によれば、かんぽの保険外交員2,448人を処分するとのことです。
これを持って幕引きを図り、営業自粛をしていたかんぽが反転攻勢に出れるかと言えば、そこまで明るいものとは思えません。
歴史あるかんぽは、このままフェードアウトするように、役割を終えていってしまうのでしょうか。
かんぽの不適切営業問題を振り返ってみる。
そもそも『かんぽ不適切販売問題』とはどういったものだったのでしょうか。
1年も経つとさすがに記憶が薄れてきますね。
[st-card-ex url="https://www.nishinippon.co.jp/theme/989/" target="_blank" rel="nofollow" label="" name="" bgcolor="" color="" readmore="続きを見る"]
まず、上記の“西日本新聞”さんの記事のまとめを読んで復習をしてみましょう。
あまりにも多岐にわたる諸問題が出てくるので、どれが不適正だったのかを一言で語るのが、あまりにも難解だとわかります。
不適切な箇所を抜き出した新聞記事ばかりを読んでいると、すべての契約が不適正だったのではないかと思えてくるわけで、決してそうとも言い切れないことは承知しておく必要性がありそうです。
そうでないとフェアではないと思うからです。
[st-card-ex url="https://mainichi.jp/articles/20190901/ddm/012/020/066000c" target="_blank" rel="nofollow" label="" name="" bgcolor="" color="" readmore="続きを見る"]
2019年6月末時点でのかんぽの保有契約件数は、おおよそ 2,889万件。
かんぽの不適切販売が疑われた契約件数が、下記の記事でもわかるように18万3,000件。
[st-card-ex url="https://www.jiji.com/jc/article?k=2020013101160&g=eco" target="_blank" rel="nofollow" label="" name="" bgcolor="" color="" readmore="続きを見る"]
つまり、不適正契約割合をはじき出すと、
かんぽ全契約数に対してほんの約0.6%ほど。
件数にしてみると、おびただしい数として驚きを隠せませんが、ほとんどの契約に関しては問題なかったとも受け止められます。
しかしだからと言って、それで許されるかと言えばそうとも言えるわけがありません。
約15万人の契約者に不信感と混乱をもたらせたわけなので、組織の解体的見直しをする覚悟を持つぐらいでちょうどいいぐらいです。
最大の大株主が国であるという半官半民のような企業組織がこれでは困るわけです。国に騙されたと言われても仕方がない事象であることに対し、そこは謙虚に受け止め猛省を促したいものです。
また、被害をに遭った契約者には、何らかの説明義務が生じてくるでしょうし、場合によっては契約を無効にする必要も出てくるでしょう。
被害に遭われた契約者の保護を第一に考えれば、これも止むを得ない判断になりそうです。
かんぽの不適切販売の具体例。
具体的には以下のような事例がありました。
かんぽ不適切販売の事例
- 局員の手当て・実績欲しさのために保険料の二重支払いをさせた
- 局員の手当て・実績欲しさのために無保険期間を作らせた
- 不必要な保険の乗り換えで保険料を上昇させた
- 旧契約後の病気などで新たな契約を結べない
- 病気が見つかり契約解除され、保険金が支払われない
- 特約の切り替えで対応可能なのに不利な契約変更を強制した
以上のような不正に基づく契約形態を「特定事案」というそうです。
では、そもそもなぜ、このようなことが生じたのか...。
背景にあるものとして、保険外交員の立場にある局員を追い詰める過酷なノルマ地獄と、手当て欲しさによる不正があったと言われています。
実績を出せない職員に対し、厳しい激烈な研修を受けさせ、精神的に追いやっていったと言われています。
また、職員の成功報酬は、乗換契約にすると実績や手当てが半減する給与体系になっていました。
実績や手当ての半減を回避するために、一定期間保険を加入させず無保険状態にした事例も多くあったようです。
また、乗換契約に見せないための意図で、既存の契約を一定期間持続させた上で、新規契約をもらっていたとも指摘されています。
乗換ではない、と判断される時期が経過するとともに、既存の契約を解約させたという悪質なものもありました。
つまり不要になった保険の保険料も払わせ、二重払いをさせていたとのことです。
これらのことを、郵便局員という信頼を悪用し、言葉巧みに誤魔化すように行っていたというのですから罪は重いと言われても仕方がありません。
それが全国的に行われていたわけですから、組織的なものを疑われるのも無理はないでしょう。
かんぽ不適切販売の問題は、局員個々の問題だったのか。
記事にもあったように、かんぽ不適切販売により処分を受けた職員は2,448人にものぼります。
かんぽの保険外交員は全国に15,000人ほどいるそうですが、割合にすると約16%のかんぽの保険外交員が処分を受けることになるようです。
解釈の仕方でどうにでも捉えられそうですが、FPひろきとしては、これはあまりにも多いと思うのです。
個人的な不正であるのであれば、もっと少ないはずです。
しかし、かんぽの不適正販売に関しては、全保険外交員の16%が不正で処分を受けるのですから、やはり組織的な問題が疑われても仕方がないでしょう。
企業ガバナンスの再構築が求められ、金融保険商品を扱う職員の自覚に基づくコンプライアンスの徹底と教育が必要になってくるでしょう。
かんぽがいつから自粛解禁となって販売が再開されるか知りませんが、かんぽの先行きは決して明るいものにはなりません。
もし、光明を見出すのであれば、他社に負けない魅力的な商品の開発でしょう。
しかし、国が日本郵政株を保有する限り、新商品の提供は難しいとみた方がいいでしょう。
そしてそうこうしているうちに焦りが生じ、苦し紛れに職員に過度なノルマをまたまた設定するようになるのか...。
そして万が一同じ過ちを繰り返したら、郵便局での保険販売は二度とお目にかかれなくなることでしょう。
こんなことが二度と起こらないようにするためにも、金融庁は金融商品・保険商品の販売に対するノルマを撤廃するぐらいの英断をして欲しいものです。
職員のノルマで負担を受けるのが顧客というのもおかしいじゃないですか..。
金融商品をめぐるノルマのあり方を、国として規制する見直しが必要な時期に差し掛かっているのは明らかです。
顧客本位を金融庁が謳うのであれば、金融庁からそれを積極的に打ち出すべきではないでしょうか。
...、と問題提起をしたところで今日はおしまい!
かんぽの問題はまたこのブログで取り上げます。
ということでこのへんで。じゃ!