2024年にNISA制度の見直しがあることはずいぶん前から聞いていました。
2022年も下半期となり、「新NISA」の制度運用まであと1年。
「新NISA」についてはまだまだ試行錯誤の段階のようですが、一体どのような制度設計になるのでしょうか。
「新NISA」に関してはかなり期待している一方で、私はかなり後ろ向きの論調も持っています。
それは一体なぜなのか。
「新NISA」制度が国民や日本経済を根本から救ってくれる魔法の杖だと思っていないからです。
「新NISA」導入により待ち受ける、メリットとデメリットを考えます。
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NISA恒久化の詳細が少しづつ紙面を賑わしてきました。
これは2022年8月23日付の読売新聞の記事です。
この記事を読むかぎり、制度設計の詳細にわたる議論の様子はまだ出てきていません。
しかし以下のことに関しては確かであることがわかりました。
ポイント
- 現行の「一般NISA」は2023年末で終了。
- 2024年から「新NISA」として生まれ変わる。
- 「新NISA」は2028年まで投資ができる。
- 2023年でジュニアNISAは終了する。
- つみたてNISAの対象年齢を未成年まで拡大する可能性あり。
紙面ではここまでの言及にとどめていますが、twitterなどでは違った角度からの情報がでてきています。
それも併せて載せておきます。
ガチで朗報です。昨日発表の金融庁による『NISA制度改正要望』についてまとめてみた。「投資可能期間を恒久化」「非課税期間を無期限」「年間投資枠をつみたてNISA60万円、一般NISA240万円」「対象年齢を一部未成年に拡大」と超が付くほど魅力的。年末の決定が楽しみです。NISA?な人は固ツイを参考に pic.twitter.com/wN184LQAIF
— ひさ|お金を図解する人 (@hisa_fire) August 23, 2022
これはあくまで改正へ向けての要望なので決定ではありません。
よりよい制度設計になるよう、まだまだ議論を深めている段階にあります。
NISA制度改正の注目点は投資金額の上限。
当初言われていたNISA制度の変更点の概要は、つみたて投資を行った人が一般NISAも利用できるというものでした。
いわゆる二階建ての運用というやつですが、それが基本線として議論されていくのは変わらなさそうです。
長期運用にもとづいたつみたてNISAを広く利用してほしいという思惑から、つみたて投資を優先させようとする意図を感じます。
一般NISAまでやりたければまずはつみたてNISAやってな。
話はそれからだ。
長期・積立・分散投資で手堅い資産形成をして欲しい。
そんな国からの意図を感じますな。
金融庁は新NISA制度の制度設計に、既存のベテラン投資家の声をかなり拾いあげています。
現にこういった形でアンケートが取られ、反映されていることがわかります。
金融庁が7月に行ったアンケート調査では、投資家の6割超がNISAの投資枠拡大を要望した。このため、投資上限の引き上げを目指すことにした。
引用:読売新聞
このように「新NISA」の制度設計は、日頃から投資に触れ合っている富裕層の声を色濃く反映したものとなりそうです。
非課税枠が拡がって一番喜ぶのは富裕層です。
対象商品もさらに拡がることを受け、投資慣れした人にはまさに朗報にほかなりません。
政府にとっては投資が促進されさえすれば、誰がどのように投資に関わろうが細かいことなどどうでもいいことなのでしょう。
「新NISA」によって投資額が増えたという実績さえできれば、役人としてはそれはそれで万々歳。
国民の利益よりも役人の利益が優先するような制度設計だけは勘弁してほしいものです。
「新NISA制度」が国民や日本経済にもたらすメリット・デメリットを考える。
それでは「新NISA」によって、国民経済にどのような利点があるかを考えます。
また「新NISA」にデメリットはあるのでしょうか。
大変気になるところです。
「新NISA制度」のメリット
「新NISA」におけるメリットはあげたらキリがありません。
確実に言えることとしては、現行NISA制度で高まった投資熱が更に加速するものになるということです。
非課税上限額がさらに上がり制度の恒久化ともなれば、どんなライフサイクルにいても投資が身近なものとして存在することになります。
積立が必要なライフサイクルの時にはつみたてNISAを、相続などで多額の資金をもったときは一般NISAを活用しやすくなります。
現行のNISAは期限が決められていたこともあって、その時期を逃すと非課税枠を使うことなく制度がおわってしまう懸念がありました。
しかし「新NISA」ではそれを気にする必要がありません。
より投資に軸を置いたライフスタイルを送りやすくなったと思います。
日本国内の低金利による預貯金は、このインフレ下においてお金を溶かしている状況が続いています。
投資をしている人ほどそのロジックを知っているため、より堅実な長期・積立・分散を意識した投資を実践しているのです。
給与も増えないこの時代では、資産運用でお金を増やすという発想を持つのも当然です。
その一方で預貯金にしておくことで実質的なお金の価値を減らすのであれば、お金を減らさないためのリスクヘッジとして投資を活用するという意識改革ができています。
ここ数年株式市場を中心に金融マーケットが好調だったこともあり、資産を何倍にも増やした投資家がたくさんいました。
投資家個々人としては、投資をすることで資産を増やすことに成功していることを考えますと、やはり投資は魅力的だなと思います。
なので投資を活用した資産形成がすっかりマストな時代になったといえるでしょう。
「新NISA制度」のデメリット
しかし一方で日本経済というマクロ的な視点でみたらいかがでしょうか。
日本人が一所懸命働いた所得が、NISAなどの非課税枠を利用することで海外に流出しているという見方もできませんか?
日本人の所得が日本企業ではなく、より良いマーケット環境を頼って優先的に外国企業の発展に寄与する結果となっている...。
なんとも寂しい話ではありませんか。
このことに関し日本人はもっと危機感を抱かないといけません。
その状態が廻り廻って日本人の首を絞めかねないからです。
日本の企業はますます海外から後れを取ります。
海外競争力を失った企業に勤める日本人の給与はなかなかあがっていかないのは当たり前でしょう。
その要因として日本企業におけるイノベーションが起きにくい状態になっているからです。
これでは中小企業の発展も阻害されますし、スタートアップ企業も立ち上がっていけません。
技術力はあるのに資金が無い。
国内にはそんな中小企業がたくさんあります。
国内企業を応援する制度設計になっていたら、「新NISA」は満点の評価をあげられると思いますが期待薄でしょう。
中小企業を退場させようと考えている政府ですし。
日本人の稼ぎが日本に落ちることで、日本人同士が潤う経済システムにして頂きたいものです。
それなくして日本経済の復活はありません。
いつまでもウォール街の稼ぎのおこぼれで満足している場合ではありません。
30年間眠り続けた日本人も目覚めの時がやってきています。
投資で国民生活をなんとかしようと考えず、まずは産業の立て直しこそ政府の仕事のはずだと思うのですが。
実力のないお花畑内閣の岸田政権では期待できるわけもありませんけどね。
絶望感だけが悶々としております。
そろそろ日本人としての誇りを取り戻したいものです。
まとめ
「新NISA」が待ち遠しいと感じるのも当たり前でしょう。
しかし投資をする資金を捻出できる立場にない人にとってはやはり関係のない話なのです。
これでは確実に貧富の格差の拡大を招くでしょう。
そのためにも日本政府は、日本人全体の所得を上げる政策を打ち出すべきではないでしょうか。
投資よりも労働。
これこそが日本人らしさであり、日本人の強みだったはず。
日本経済を立ち直す意味でも、この原点にたち還りたいものです。
ではでは。