どうも、FPひろき(@fp_hiroki)です。
今まさに旬な投資用語、テーパリングついて解説をしていきます。
どうぞお付き合いください。
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“テーパリング”とは金融市場からお金を引き上げる金融政策のこと。
テーパリング
テーパリング(Tapering)は直訳すると「先細り」や「次第に先が細くなっていくこと」という意味で、金融用語ではQE(量的緩和)の縮小を意味します。米国で2012年9月から行われている「QE3」では7回にわたり従来毎月850億ドルだった資産買い入れ額を100億ドルずつ減らしていくテーパリングを実施しました。
引用:SMBC日興証券
このテーパリングを実施するに至った経緯があります。時系的に確認していきながら説明します。
新型コロナウイルスの影響による経済的大打撃の経済テコ入れ策として、金融市場にお金をばら撒いた。
なぜテーパリングを実施するのか。
まず、米国の政策金利を以下の『米国政策金利推移表』で確認していきましょう。
出典:時事通信
『米国政策金利推移表』からわかることは、
リーマンショックの混乱から脱した2008年から少しづつ、
景気回復してきたことを機に、段階的に政策金利を上げてきました。
ところが政策金利を段階的に上げていたその矢先に、
2020年の年初に新型コロナウイルスが世界中に蔓延し、
経済的な大打撃を受けたのです。
新型コロナウイルスで株価が急落した2020年3月頃、
米国は経済の下支え策として、株価急落による金融マーケット混乱の回避策として、
量的緩和政策を取りました。
それに伴い金利引き下げ策を短期間で2段階にわたって一気に約2%も引き下げたのです。
その大胆な金融政策が功を奏したこともあり、
米国経済は新型コロナウイルスの経済的ダメージから比較的早く立ち直りを見せました。
リーマンショック以上の落ち込みを見せた株価も、短期間で急回復。
その後はご存知の通り、各株式指標も過去最高値を付けるに至っています。
量的緩和が株価上昇につながるワケ
金融市場にお金を大量に流通させるとなぜ株価は上昇するのでしょうかを考えてみます。
他の環境の要因もあるので一概に言いきれませんが、
お金が世の中に余剰状態にあると、貨幣価値が自ずと下がり金利は低下します。
金利が低下すれば、クーポン(利子)収入が期待できなくなり、
債権(新発債)の魅力が低下。
その後株価が底値を推移している時を見計らい、
投資家が株式を買い入れをしやすくする心理的効果があると言われています。
株価暴落後の回復シナリオの流れ
- 量的緩和策で金余り状態を作り出す。
- ゼロ金利政策の実施で債権の魅力低下。
- 国内経済、株価正常化に伴いテーパリングの実施。
“新型コロナウイルス”というブラックスワン(通常起こり得ない事象)が
舞い降り、市場経済が大混乱に陥った際の金融政策が適切だったことがわかります。
量的緩和は緊急措置。テーパリングで金融市場を通常に戻す必要がある。
出典:トウシル
新型コロナウイルスの影響による株価の急落を劇的に回復させた量的緩和。
しかしその量的緩和も金融政策の緊急措置に過ぎません。
いつしか金融市場を通常化する必要があるのです。
それをいつから開始するのか、という非常にナーバスな時期に差し掛かってきました。
2013年、かつてのFRB(米国連邦準備理事会)の議長のバーナンキ氏が、
「テーパリングを実施する。」
と発言をしたことで、投資家がネガティブに反応し、警戒感から株が売られ、
株が暴落を起こしたということがありました。
これがいわゆるバーナンキショックと言われている株式市場の暴落です。
FRBは、そのような過去の苦い経験を踏まえ、
テーパリングの公表や実施について慎重になっているのがわかります。
“テーパリング”実施が始まるが、FRBはバーナンキショックの教訓から慎重姿勢を崩さない。
2021年の8月頃から、少しづつテーパリングの実施を匂わせてきたFRBですが、
かなり慎重になっていることがうかがえます。
少しづつ小出しにテーパリング実施を匂わせてきたからこそ、
いつしか投資家の間ではテーパリングは既定路線という位置付けに変化しているのです。
FRBの戦略もあり、いまのところ金融市場に混乱は見られません。
またここに来て、ゼロ金利政策を2023年末まで、
FRBが継続する見通しであると報じはじめました。
かなり慎重にそして丁寧に金融政策を打って出ているのがわかります。
これもまた投資家にとっては追い風となりそうです。
テーパリング実施を恐れ、利確済みの僕でしたが、正直あてが少し外れました。
しかし方向性としては正解だったと思います。