第二次岸田改造内閣が動き出しましたが、岸田首相は昨日から夏季休暇に入った模様。
故安倍元総理が夏季休暇を取ろうとするものなら、それだけでマスコミから袋叩きにあっていたのを懐かしく思います。
そんな故安倍元総理について考えるだけで悔しくもなり、空虚感に襲われて立ち直れなくなるのでこの辺りにしておきます。
マスコミから違和感たっぷりに守られている岸田総理ですが、夏休みに入る前に一つ指示を出していました。
それは小麦価格の据え置きについてです。
インフレ対策によるものとされていますが、果たしてそれだけでインフレを回避することができるのでしょうか。
先に結論を申し上げると、それは一定程度の効果があるとみていますが、価格決定には他にも重要な要素があるので完璧ではないと言うのが私見です。
物価高を招く小麦価格以外の他の要素とそのリスクについて解説していきます。
小麦価格決定の仕組みと小麦売り渡し価格方式。
まずは予備知識として小麦価格はどのように決定されているかの仕組みを解説します。
小麦の約90%は輸入小麦です。
輸入した小麦は一旦政府がすべて買い受け、それをあらためて製粉会社に売り渡すという仕組みがとられています。
これを輸入小麦売渡制度といいます。
参考
政府が小麦をいつ輸入したかによって、製粉会社が買い取る小麦価格に影響を与え、それが物価として跳ね返ってくる仕組みになっています。
その小麦価格の改定時期は4月と10月の年2回。
4月の小麦価格改定の際、海外の小麦価格やエネルギー価格高騰による輸送コストの上昇は小麦価格にも反映しました。
しかしウクライナ戦争による影響はまだこの4月改定期の小麦価格に反映されていません。
ウクライナ戦争による小麦価格への影響は、次の10月期の改定からなのです。
小麦産出国のウクライナの惨状では、小麦の出荷量が減少するのは当たり前でしょう。
そうなれば当然小麦価格が高騰することは、誰の目で見ても当たり前に映ります。
物価上昇で輸入小麦価格があがっていたところに、
ウクライナ戦争の影響による価格の上昇。うっそ~。
その通り。
世界的インフレの状況下でウクライナ戦争による小麦産出量の低下。
まさにダブルパンチになりかねなかったわけで。
一般国民の生活や飲食店経営者は苦しくなっだろうね。
生活必需品の物価上昇が一般国民の生活苦を避け、支持率の下げ止まりを模索する岸田政権。
支持率が下がりそうな案件や他国が利する決定に関してだけは異常に決断が早い。
理由はさておき、“検討使”とならなかった点は素直に評価したいと思います。
小麦価格の据え置きはインフレ対策になるが、国民の食生活の改善などの根本的解決が必要だ。
小麦価格を抑えることで、小麦を原材料としている食品などの価格がある程度抑制することは可能でしょう。
そのような意味で政府の政策方針は間違っていないといえます。
しかし食品価格の決定要素は小麦価格だけにとどまりません。
食品価格の決定要素
- 食料品の需給バランス
- エネルギーコストの増減による輸送コストの反映
- 人件費の高騰や設備投資などによる生産コストの増減
など
様々な要素で決まる食品価格ではありますが、輸入に頼るリスクが国民生活に与える影響があまりにも大きいことがわかりました。
これを機に、輸入小麦に頼らない食生活などの日本人の食生活の改善からの取り組みが必要なのではないでしょうか。
日本国内の第一次産業を強化し、コメを主食とする食生活への回帰などの議論をもっと膨らますべきでしょう。
世界的食糧難到来が叫ばれることもあり、もはや減反政策などしている場合ではありません。
輸入に頼らない国内食産物の安定供給の実現は、食料品価格の安定をもたらします。
いい加減食糧自給率をあげるための根本的な解決策を打ち出す時期に差し掛かっているにも関わらず、それを放置する政府・国会議員は一体何をやっているのでしょうか。
世界的食糧難時代の到来は避けられないとされており、残された時間はさほどありません。
インフレ抑制に小麦価格据え置きも重要だが、台湾有事への備えも必要になる。
輸入小麦や食料品価格が高騰するロジックを前節で説明しました。
食品価格抑制にはエネルギーコストの抑制も重要になる。
そのような観点から、更なる食料品価格高騰の余波がやってきそうです。
ペロシの台湾訪台以降、台湾有事がいつ発生してもおかしくないフェーズに移行しています。
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台湾有事は日本の安全保障のみならず、エネルギーコスト高騰の危険性をはらんでいるのです。
C国は台湾有事を理由に、海上封鎖を。実施することはC国の軍事訓練を見ても明らかです。
もし海上封鎖が実行されてしまうと、日本のシーレーンは抑えられタンカーが海峡を通れません。
そうなると日本のエネルギー輸入における最大の危機が訪れることは免れません。
タンカーが大幅に遠回りの進路を取り輸入できたとしても、輸入量は少量にとどまり、遠回りした分の輸送コストは大幅に跳ね上がります。
それは食品品価格や生活必需品の価格に乗っかることになり、価格上昇の波は一般消費者のみならずあらゆる産業にまで波及すると予想されます。
日本は軍事的な危機を避けられたとしても経済的な危機に陥り、日本は真綿で締められるように苦しめられることになるでしょう。
国民はそろそろ目を覚まし、目の前に差し迫った危機感と真っ向から直面しなくてはなりません。
世界平和あってこその食糧の安定供給であり食糧価格抑制である。
国民生活の負担増への懸念を考えると、岸田総理の小麦価格の据え置きの政治判断は正しかったと思います。
しかしまだまだ予断を許さない状況です。
ウクライナ戦争で小麦価格が上がり、台湾有事では輸入原油価格の上昇が予想されています。
結局戦争などの有事があると一番割を食うのが国民なのです。
小麦価格据え置きの政治的判断も結構ですが、有事にならないような手立てすることこそが首相としての最大の務めだと思うのです。
世界に安定と秩序をもたらした安倍さんが、世界から尊敬・敬愛そして讃辞が贈られるのも頷けますね。
ではこのへんで。