あなたの副業、それは事業所得?それとも雑所得?...。
常にぼやかされてきたこの論点。それがついに決着がつきそうです。
副業がどちらの所得に分類されるかによって、会社員であるあなたに暗雲が立ち込めるであろう税制改正案が話題となっています。
一大事といえる改正案なので、今のうちにしっかりチェックしておく必要がありそうです。
副業をしているほぼすべての会社員は、増税になること間違いなし。
結論から言いますと、副業をしている多くの人にとって税制改正案は改悪となり、税制面でかなりの痛手を負いそうです。
それを端的にいうと、
副業での収入が300万円以下は雑所得に分類する。
という改正案なのです。
それによって副業をしている多くの会社員が税負担が増す、という事態が訪れることが予想されています。
ほとんどの会社員の副業収入は、300万円を満たしてないので、お小遣い稼ぎにと何気なくやっていたその副業は増税対象として免れなくなります。
しかもそれは早ければ次の確定申告からと言われているので気が気ではありません...。
貪欲に働くあなたを震撼させるこの税制改正案。
次章では副業収入雑所得化の税制改正案発令の背景に迫ります。
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「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の改正案発令の背景。
国税庁から「所得税基本通達の制定について」(法令解釈通達)の改正案がパブリックコメントで発表されました。
この税制改正案はいろいろな背景から発せられたものだと言われています。
考えられるものは以下の3点です。
改正案発出の背景
- 事業所得と雑所得の線引きをはっきりさせ、安易に給与所得者の事業所得による減税対策をさせないための措置。
- 持続化給付金の不正受給対策とリンクさせるための措置。
- 税負担を更に強いる財務省の思惑。
副業での収入を事業所得にすることについて放置していた国税庁は、結果として節税対策の抜け道を作り、持続化給付金者受給対象者を無駄に作ってしまった反省があったのではないでしょうか。
事業所得と雑所得の判別は非常にグレーな部分が多かったので、このような多くの問題点をはらんでしまったと思うのです。
そこに「副収入300万円未満は雑所得」という基準ができるのは税制的な進歩としては評価だと思います。
これをもって副業収入にメスを入れてこなかった国税庁が、いよいよ重い腰をあげたと分析しています。
改正案発令の背景にある共通点を鑑みますと、これは国民への更なる税負担を行うための改正であることがわかります。
なぜ雑所得になると増税になり得るのか。事例で検証する。
副業での収入が事業所得ではなく雑所得になると、なぜ不利になるのか。
それは、事業所得で受けられる恩恵が雑所得にはない。
この一言につきるでしょう。
事業所得のメリット
- 損益通算できる。
- 繰越控除が出来よう出来る。
- 青色申告特別控除が適用できる。
事例で解説します。
副業での収入を事業所得として「損益通算」をして税負担を免れる。
副業収入を事業所得とする事例
給与所得が350万円で副業での収入が250万円だとします。 副収入を事業所得とする場合。
なんらかの経費で300万円かかったとします。
事業所得の所得計算は以下の通り。
事業所得=収入事業ー経費ー青色申告特別控除(10万円or55万円or65万円)
収入と経費を公式にあてはめますと以下のようになります。
事業所得=250万円-300万円=ー50万円
事業所得はマイナスになります。
マイナスになるということは、副業収入が無かったことを意味し、税金がそれに対して掛からなくなります。
事業所得のメリットはそれにとどまりません。
損益通算で事業所得を圧縮できる
このマイナス分は他の所得から差し引くことで、課税総所得金額(税金を支払う元となる累計所得のこと)を低くできます。
これがいわゆる損益通算と言われるものです。
課税総所得金額=350(給与所得)ー50万円(事業所得)=300万円
300万円に対して所得税、住民税が掛かることになるので、損益通算することで所得が50万円圧縮されたことを意味します。
現行の制度ではこれが出来ることになり、暗に節税効果を認めていることになるのです。
事業所得は「青色申告特別控除」が使えるが、雑所得が使えない。
何も知らなくても大丈夫! フリーランスの税金と経費と確定申告[副業の人も]
また事業所得には青色申告特別控除というもう一つのメリットがあります。
副収入ー経費でプラスになったとしても、この控除を使うことによって利益を圧縮もしくはゼロにすることも可能なのです。
青色申告特別控除で利益を圧縮
事業所得=収入ー経費ー青色申告特別控除
副収入が250万円で経費が200万円の場合。
一定条件により65万円まで控除ができる。
事業所得=250万円ー200万円ー50万円(青色申告特別控除)=0
副業による収入が無かったものとされ、課税対象は給与所得のみとすることができる。
副業収入の雑所得扱いは、副収入すべてが総所得金額に上乗せされて税の負担増になる。
ところが副収入を雑所得にしたらどうなるでしょうか。
副業収入を事業所得とする事例
雑所得は損益通算が出来ません。
そうすると雑所得がマイナスになることはないので、給与所得金額に雑所得金額がダイレクトに上乗せされるにようになります。
課税総所得金額があがり税負担が重くのし掛かってくるわけです。
累進課税制度の日本において、所得が高くなれば当然そのその餌食になることは一目瞭然でしょう。
新たな税制改正案が施行されれば、すでに雑所得として確定申告している人であれば、通常通りということで負担感を感じることはないでしょう。
ところが事業所得で申告していた人の場合は、かなりの税負担を覚悟しなくてはいけなくなる。
そのことを重く受け止めておく必要性がありそうです。
事業所得のこれを悪用する給与所得者が後を絶たなかったことや、
インフルエンサーなどが過度に推奨していたことが問題視されたのも事実。
副業収入の雑所得化は早ければ今年分(次の確定申告)から適用される。
まとめますと、会社員による300万円以下の副業収入は基本的に雑所得に一本化しよう、という動きがあるということです。
それも早ければ次の確定申告時(2022年分の所得税の確定申告は2023/2/16~2023/3/15まで)にはそのような扱いになるといいます。
本決まりではないとはいえ気になるところなので、その動きに関しては随時チェックしておくことをお勧めします。
詳細についてはお近くの税務署や税理士さんに聞いてみてください。
ではではこのへんで。